何も言えなくて…人魚姫の恋
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「ゴキブリ?…まさか俺のロッカーに押し込んだりしてないっすよね?」
海堂がジロリ…と音が出るんじゃないかと思うほどの鋭さで先輩諸氏を睨むように見渡してから、素早く自分のロッカー内も点検するとフシュウ…とひと息吐いた。
「…ほんとにいたんすか?ゴキブリなんて…」
疑いの眼差しで乾を見ながらロッカーの扉を閉じると
「いたよ。そいつは甘い物が好物らしくてな、お前のクッキーを狙ったようだが俺達が退治しておいたから、安心していいぞ」
逆光がいつにも増して鋭く見える。
「そうだよん。皆で退治したんだかんね」
菊丸の陽気さも、何だか必要以上に感じる。
「お陰で被害がなくてよかったね」
不二の穏やかさは、更に不気味さへと拍車を掛ける。
「ま、そーゆーことだ。海堂。独り占めはよくねーよな?うん、よくねーよ」
うんうんとうなずく桃城。
(…ちっ、そういうことか。意地汚ねぇ連中だぜ)
海堂は、探るような視線を辺りに漂わせながら、このしたたかな連中の包囲網からどうやって脱却するか思考を巡らせ始めた。