何も言えなくて…人魚姫の恋
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「でもまぁ、その当時の芸術家やパトロンの関係なんて、あまり男女のこだわりってないわよね」
歴史を紐解くように想いを馳(は)せると、藤田は自分自身に頷いた。
「ねぇ、高寺さん。海堂くんてさ、いいヤツだよね?」
不意に藤田が、話題を飛ばして七星に尋ねる。
「あ、はい!」
一瞬キョトン…とした表情を見せたが、すぐに満面の笑顔に切り替わると、ハッキリ力強く藤田に返事をした。
(ふふ…海堂くんは、泡にならずに済むのかな…)
「でも、わからないよね、こればっかりは」
伸びをしながらつぶやくと、藤田は椅子から立ち上がった。
「…え?」
何のことだろう…と思い、藤田の動きを目で追う七星。
「人の心の不可思議さについて…かな」
ノートと折り紙をまとめながら、藤田が答えた。
「人の心が全部わかったら、やっぱりつまらないものよね」
「そうですね。心って自分自身にもよくわからないから…」
思い当たるかのように、七星は瞳を虚空へと飛ばした。