何も言えなくて…人魚姫の恋
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「…あたしは、どのお姫様も幸せだったと思います」
七星は少し考えてから答えたが、
「…人魚姫も? 幸せだったと思う?」
その答えに対して藤田は、わずかに不満があったかもしれない。
「何も言えず、何も伝えず泡になってしまうのよ?」
「それでも、です」
まっすぐと藤田を見据える、真正直な嘘のない輝く瞳。
見つめられる自分の方が、汚れているようで、何だか気恥ずかしくなり、つい目を逸らせてしまう。
(うーん、素直な人には敵わないかな…)
藤田も、七星に何か言わなくては…と口を開いた時だ、
「以前に、新聞の特集記事で読んだことがあるのですが、人魚姫は原作者のアンデルセン自身がモデル…て言う説でした」
「え…アンデルセンが?」
「はい。確か相手はパトロンの男性…だったと思うんですが…」
大分前なので、あまりよくは覚えていないのですが…と七星は注釈をつけた。
「アンデルセンも男よね?」
「はい」
「やるわね。アンデルセン」
なぜかニヤリとする藤田。