何も言えなくて…人魚姫の恋
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「え…」
目の前に差し出された袋の中には、お世辞にも綺麗な形…とは言いかねる物体の残骸らしき物がいくつか入っている。
「─ごめんなさい!…割れてる、これ…」
手塚の表情を見て七星は、自分でも袋の中を覗いて焦った。
ポケットにしまっていたせいか、形を留めているものは皆無だった。
「頂こう」
壊れているから、とあわててクッキーを引っ込めようとする七星の手から、手塚は袋ごと持ち上げた。
「…………」
心配そうに七星は、手塚の指先から口許に運ばれる、クッキーのかけらを見つめる。
「美味いな、問題ない」
甘い香りと芳(こう)ばしさ、そしてサクサクの歯触りが、手塚を満足させた。
「ホントですか?よかった…!」
七星の顔にようやく笑顔が広がる。
手塚も穏やかに七星を見つめると
「では、貰っていこう」
…と手に持ったままの袋を軽く上に上げると、脇に挟んだ資料をかかえ直して、手塚はいつにない笑顔を浮かべながら図書室を後にした。