何も言えなくて…人魚姫の恋
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「…話が…見えないのだが…」
手塚はあらん限りの推理力を駆使して、七星の話を読み取ろうと努力をしてみたが、今ひとつ掴めない。
「あの…ですね」
敢えて七星も、遠回しに言ってきた…と自分でも思う。
「お礼としてクッキーを差し上げたのはいいんですが、もしそれでお腹を壊したりしたら…って思ったら、急に心配になって…」
語尾を濁しつつ、人に言えたことで、なぜだか自然にホッと安堵の息が洩れる。
(…何だ、そんなことだったのか…)
手塚もつられるようにひと息ついた。
「しかし…出来上がれば普通、試食のひとつやふたつはするんじゃないのか?」
手塚がごく当たり前の疑問を述べる。
「…しましたけど…万が一ってこともありますから」
やはり、拭い切れない不安があるのか、七星は掌を握ったり開いたりして所在なげだ。
「…残念だな。俺もお前の作ったクッキーを食べてみたかった」
柔らかな微笑みを七星に向けると、励ます意味も込めて正直な気持ちを手塚は伝えた。
「…召し上がります?まだありますよ」
七星はポケットから小さな袋を取り出した。