帝王の庭*
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至近距離でニヤリと笑うと、跡部さんは言った。
「さぁ、ゲーム開始だ」
跡部さんの手があたしから離れる。
「あの…」
少しホッとしたけど、新たな緊張が走る。
「種目は『かくれんぼ』鬼はお前だ」
「…え」
「探す相手はこれだ」
跡部さんは、あたしの携帯を手に取ると言った。
「音が鳴ると居所がわかるからな。電源を落とすぜ」
あたしはただ、跡部さんの手元を見つめるしかない。
「これを俺が今から校舎内のどこかに隠す。それをお前が探す」
(それなら何とかなりそう…例え時間がかかっても…)
「ただし、お前が探しに行ったきりじゃ、俺様の退屈は変わらないから…お前は10分ごとにここに戻れ」
「…え?」
(も…戻れ…って?)
「お前、チェスは出来るか?真田と将棋は打てるようだが…?」
「チェ…チェスですか?…出来ますけど…?」
「戻る10分ごとに駒を動かせ。俺もお前のいない間に動かす。俺はただ待つのは退屈だから、チェスをする。お前は携帯を探しながらチェスをする。ただし─」
跡部さんは、あたしの首のカードを見せると言った。
「お前が戻って、駒を動かすたび俺の印鑑をひとつ押す。10分以内に戻れなかったらふたつ押す。手詰まりになったり、カードのマス目が印鑑で埋まればゲームオーバー。お前の負けだ」
ニヤ…と笑い、あたしをじっと見る。
「制限時間は午後4時までだ。それまでに携帯を見つけて、俺様に勝てればお前の勝ち。だが、携帯を見つけてもチェスで負ければ、それもお前の負けだ」
跡部さんは、あたしの携帯を手に持つと、愉快そうに笑った。
跡部さんて…結構サド系…?随分じゃない?あたしが体力切れ起こすの知ってて…。
「何か質問は?あるなら聞くぜ」
「…あたしが負けると、どうなるの?」
不安になりながら聞いた。
「そうだな…。俺様の言うことを何でも聞く…だな」
また、ニヤリと笑った。
「…途中であたしが動けなくなったら…?」
「リタイアで当然お前の負けだ。その時は今度こそ俺様に助けを請うんたぞ。いいな?」
「…これ…」
あたしは首にかけられたカードを指先でつまむと跡部さんに見せた。
「ラジオ体操のカードみたいで、やなんですけど…」
「…く…もっと嫌にしてやるぜ」
と、跡部さんが笑ってカードの裏にマジックで何か書いた。
「通行証だ。当番の先生はいるからな、何か言われたら見せろ」
『跡部の女。触るな』
カードにはそう書いてあった。