何も言えなくて…人魚姫の恋
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「何をしているんだ?」
「…え?」
図書室で本を読むでもなく、借りるでもなく、ただひたすら折り紙を折っている七星を見て、思わず手塚が声をかけた。
「手塚先輩…生徒会、ですか?」
外のコートからは、すでに練習が始まっている音や歓声が聞こえて来る。
「ああそうだ。今日は生徒会だ」
手塚も外の音に注意を払いながら、窓に近づくとコートに目を走らせる。
どこにいてもテニス部の部長さんなんだ…と、七星は思った。
「それより何をしているんだ?」
手塚は先ほどの質問をもう一度、七星に聞いた。
「折り紙です。クラスメイトが一人、急に入院しちゃって…それで、皆で千羽鶴を折ろうってことになったんです」
七星は、話しながらも手を休めない。色とりどりの鶴が、次々と折り上がっていく。
「…そうか」
これ以上は何もない。
…ただ、ひとつだけ聞きたかった。
「…帰りは…」
「あ、帰りは部活終了後に海堂先輩と帰ります」
折り鶴を作りながら、あっさりと七星が答えたので、手塚も『え?』と言う顔を隠せなかった。