何も言えなくて…人魚姫の恋
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「いや…別に大したことじゃねぇし…」
(何でだ…調子が狂う…こいつのどこを見ればいいんだか…)
七星の顔がまともに見られず、視線の置き場に困り、思わずプイと顔を背ける。
「…クッキーはお嫌いですか…?」
七星もそんな海堂を見ると、困ったように視線を落とす。
「いや、嫌いじゃねぇ…」
「よかった…」
あわてて視線を七星に向けると、丁度七星も目線を上げ、海堂と目が合うと嬉しそうに、にっこりと微笑んだ。
「……っ…」
「それじゃ先輩、今日は本当にありがとうございました」
もう一度深々とお辞儀をすると、七星は部室の入り口から離れた。
『伝わらなくてもいいんだ』
─それはただの諦めじゃねぇのか─?
俺はまだ何も伝えたことがねぇ─
無意識に七星の腕を掴んだように思う。
「はい?」
七星が振り返って返事をした。
もしかしたら、名前も呼んだのかもしれない。
「帰り、送るから待ってろ」
考える間もなく勝手に言葉が出た。