何も言えなくて…人魚姫の恋
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「憐れ…?」
俺は眉をしかめるようにして藤田を見た。
「そうよ、声と引き換えにしてまで足を手に入れたけど、結局王子様に好きだと伝えられないまま、海の泡になっちゃうでしょ」
そんな話なのか?俺はよく知らねぇ…。
「アニメ映画はハッピーエンドにしてあるからね」
ふふ…と少し醒めたように藤田が笑う。
「結局…誰かと完全にわかり合えるなんて幻想にしかならないんだわ」
緑色の折り紙を開いたまま手を止めると、藤田はつぶやいた。
「あ…? 人同士がわかり合えるはずねぇだろ?直接会って話したって伝わらねぇんだぜ?何をどうやってもダメな時はダメだ」
次の紫色の折り紙を拾いながら海堂があっさりと言う。
「ズバッと言うわね」
藤田が目を丸くする。
「うだうだしても仕方ねぇからな」
「ふぅん、じゃ海堂くんは、高寺さんに伝わらなくてもいいんだ?」
「…何でそうなる?」
苦々しげに藤田を睨む。
「海堂くんの持論ならそうでしょ?」
ケタケタと愉快そうに藤田が笑うと、声が雨雲を吹き飛ばすしたかのように雨が小降りに変わった。