何も言えなくて…人魚姫の恋
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「でも、高寺さん可愛いじゃない? 実行委員会の先輩の中にも、狙ってる輩がいるみたいよ?」
藤田が目だけで笑う。
─実行委員が…?
さすがに委員会絡みの情報ではテニス部には届かない。
藤田に黄色い折り紙を渡し、考え込む。
アイツは…はっきり言ってドジだ。間の抜けた言動も数々起こす。
だが、他で何かあってもテニス部に相談しに来るようなヤツじゃない。
「面白いな、海堂くんて」
ノートから顔を上げたまま藤田が言う。
「…あ? 俺が藤田にギャグでも言ったか?」
「違うよ。言動。面白いよ。普段海堂くんて無愛想でムッツリして喋らないけど、高寺さんのことは語るよね」
「……何も言ってねぇ」
「目は口ほどに…」
意味ありげに藤田が笑う。
俺が折り紙を拾って渡す。藤田が開いて書く。
「人魚姫って憐れだよね」
不意に藤田がつぶやくように言った。