帝王の庭*
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「賭け…?跡部さんと…ですか?…そんな、理由がわかりません」
あたしは、もうちょっと後ずさった。
「…退屈だからだ」
「…は?」
跡部さんはそう言うと、あたしにくるりと背を向け、生徒会長用とおぼしき机に座り、何かを書き始めた。
「跡部さん…?」
(あの…退屈は仕方ないでしょうが、そろそろあたしの携帯を返してくれませんか~?)
「さて…出来た」
跡部さんはカードのような物を手に立ち上がり、少し長めの紐をつけると、いきなりあたしの首にそれをかけた。
「えっ!?ちょっ…」
「俺様とゲームをしよう」
「はぁ?あの、先ほどから賭けだの、退屈だの、ゲームだのって一体…」
「俺様は、今から一人で生徒会の雑務をやらねばならん。話し相手もなく一人でな。しかし、うまい具合いにお前という『退屈しのぎ』が来た。使わない手はないぜ。だろ?」
目の前に立つ跡部さんが、あたしを見下ろすとそう言った。
(だろ…って跡部さん。それ、世間じゃ『自分勝手』って言うんですよ)
「とにかく、お前に選択の余地はない」
「え…何でそんな…」
ちょっと不服そうなあたしに
「こいつ、いるんだろ?」
上着のポケットからチラ…とあたしの携帯を覗かせると、すぐまたポケットの中に落とし込んだ。
(も…もしや『物質(ものじち)』…!)
あたしは知らずに跡部さんを睨んでしまった。
「くく…。ほんとに飽きねぇな、お前は…。だからなのか…?忍足や日吉が執拗に追い、幸村がメールを送り続けるのも」
「……!?跡部さん!あたしの携帯見たのね!」
跡部さんが、あたしと幸村さんとのことを知ってるはずがない。
「…あ」
跡部さんがしまった…と言う顔をした。
「不可抗力だって。間違えちまったんだよ、うっかり」
そう言うと、ズボンのポケットから、跡部さんのと思われる携帯を取り出してあたしに見せた。
「…え…!?」
上着のポケットからも、あたしの携帯を取り出して2台を並べる。
「同じなんだよ。お前と俺のは。機種も色も。おまけに着メロまで同じで焦ったぜ」
「嘘ーっ!あたし跡部さんと趣味が同じなの!?」
あたしは思わずそう叫んでしまった。機種も色も着メロまでもが同じだなんてありえない!
「何だ、その嫌そうな態度は?」
そう言うなりあたしに近づくと、あたしの顎を片手で掴み上げ、跡部さんの顔ギリギリまで接近させられた。
「今ので完全に、お仕置き決定だな。俺様を嫌がるのは許せねぇ」