何も言えなくて…人魚姫の恋
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「配役って…教室じゃ決めるのまずいのか?」
海堂は怪訝(けげん)そうな表情を浮かべると、階段をどんどん登ってくる藤田に目を向けた。
「ん~? 教室だと単に騒がしくて嫌だからよ。自習に決まったとたん、大騒ぎですもん。うるさくてかなわないわ」
海堂と同じ段に並ぶと、藤田は足を止め、横目でチラリと海堂を見る。
「海堂くんは? 来る気あるの?」
例の小袋を揺らして、カサカサと中身の音を立てると藤田は言った。
「……」
海堂は自分が抽選役なのを思い出したのと、藤田が言うところの"騒がしい教室"じゃ、昼寝もままならねぇ…と思い同行を告げた。
「じゃ来て。こっちよ」
藤田は海堂を追い越すと構わず、更に上の階段への手すりを掴む。
「藤田?…そっちは屋上だぜ?」
階段の途中で藤田は振り向く。
「そうよ、屋上抽選会よ」
クス…と笑いを浮かべると、藤田はまた登り始める。
「いや、待てよ、今日は雨だろ?」
藤田の背中にあわてて海堂が声をかける。