何も言えなくて…人魚姫の恋
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「そう、わかったわ。ご苦労様」
藤田は七星からプリントを受け取ると、その場でプリントに目を通し始めた。
「失礼します」
七星は、重そうなプリントの束を落とさないように抱えたまま、お辞儀をすると、次の教室へと向かうためか急ぐような足取りでドアの陰に消えた。
「海堂くん?」
藤田の脇をすり抜けるようにして、海堂は廊下に出た。
「高寺」
俺は、隣の教室に入ろうとしていた高寺に声をかけた。
「海堂先輩?」
七星が少しキョトンとした顔で振り返った。
「持つよ」
「─え、あの…?」
俺は小柄な高寺の腕から溢れそうになっているプリントの束を、半分以上取り上げた。
「昼休み中に配るんだろ?実行委員に」
「あ…はい」
海堂はただ『見た』だけだが七星にすれば、『睨まれた』に等しい。
それで七星は少し、首をすくめるようにして
「あ…あの…どうして海堂先輩は、あたしが昼休み中に配る…ってご存知なんですか…?」
と、海堂に尋ねた。