帝王の庭*
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「…手塚も生徒会長なのか?」
「はい」
「く…」
跡部さんは、おかしそうに小さく笑った。
「忍足の奴が、妙にお前のことを気に入ってるから、つい見ていたが…確かに面白れぇな」
(面白がられても…困るんですけどね)
「そういや、聞いたぜ? 昨日の『星取り』。原因は日吉なんだって?」
跡部さんは、ニヤ…と口の端で笑って言った。
「…え…ええ…まぁ…」
あたしはあまり追求されたくないので、跡部さんから目を逸らし語尾を濁しつつ、新たな話題を探った。
「あの、昨日の星はお返しした方がいいですよね?来年も競技で、お使いになるでしょう?」
樺地さんに渡したはずの星が、気がついたらあたしのところにあって、やはり気になるから聞いてみた。
「いや、あれは『勝者への捧げ物』だ。作られた時からそう決められている。遠慮なく受け取れ。来年用のは新しく発注する」
「発注…?」
(体育祭の小道具にしては大げさじゃない…?)
あたしの表情を読み取ったらしく、跡部さんはあたしを真正面から見ると、例のニヤ…とした笑いを浮かべながら言った。
「あの星は…元素記号pt、展性、延性に富み融点が高く酢などにおかされにくい。貴金属として珍重される…」
「…は?」
「すなわち『プラチナ』だ」
(…はい?プ…プラチナって、お母さんの指輪やネックレスの…あのプラチナですか?氷帝って…プラチナで体育祭の小道具作るんですかーっ!?)
「え――っ!」
あたしが、ワンテンポ遅れて驚いたのがおかしかったらしく跡部さんも笑った。
…でも
「お前が勝ち取った、お前の星だ。受け取れ」
この言葉は真面目に言ったので、あたしは素直に受け取ることにした。
「あ、それからお借りしたユニフォームなんですが…」
「それもお前にやる。記念にしろ」
あたしが恐縮したように見えたのか、『そんなことか』というようにアッサリと返事をした。
「氷帝のユニフォームを着て来れば、俺様がいつでも教えてやるぜ?手取り足取りな…」
また、ニヤ…と笑う。
「い…いえ、遠慮します。テニス部になんか来たら、また日吉さんが…」
言いかけて、あわてて口をつぐんだ。
自分から話題を戻してしまった…。
「お前は、忍足とも日吉とも賭けをしたな。そして二人に勝った…」
跡部さんが、ゆっくりとあたしに近づきながら言った。
あたしは少し下がる…。
「俺様とも賭けをしねぇか?」