何も言えなくて…人魚姫の恋
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「…んで、何で袋がふたつなんだ?」
俺の前には、薬屋で使うような小型の紙袋が、並んでふたつ置かれている。
「あ、片っぽは、古今東西の名作と呼ばれてる本のタイトル。片っぽは、このクラスの人名」
藤田が腰に手を当て、笑った。
「じゃ、行ってみようか海堂くん」
まずは、こっちから…と古今東西袋を俺に差し出した。
「引け」
…藤田お前、ちっと口調考えた方がいいぜ?…とは思ったが、別に俺には関係ねぇから、声にはしなかった。
古今東西袋に手を突っ込んで、指先に引っ掛かった紙を引っ張り出したら…それは青い折り紙だった。
黙ったまま、その折り紙を藤田に渡した。
藤田も黙って受け取り、黙って紙を開いた。
「…人魚姫か」
藤田がつぶやくと、手にしていたノートに書き込んだ。
「…他の見てもいいか?」
俺は 古今東西の名作とやらが気になり、藤田に聞いた。
「いいよ」
さっそく袋からザッ…と机の上に小さく折り畳まれた紙達を広げた。
色とりどりの折り紙が、華やかな空間を作った。