シャッターチャンスは一度だけ*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
僕は…人物はほとんど撮らない。
これはごく少数の人間しか知らない。
だから、君は知ってるはずないんだ。
「だって先輩のカメラ『Nikon』ですもの」
「…え」
「写真好きな人で、Nikonを選ぶ人は、あまり人物は撮らないと思います」
彼女は微笑んで言う。
「…どうしてそう思うの?」
「Nikonは解像力が鋭いですから、肌荒れなんかあったらバッチリ出ちゃいます。とても女の子なんか撮れないですよ」
彼女はくすくすと笑う。
「ふふ…詳しいんだね」
「ええ、祖父が写真好きで、色々カメラを持ってるんですよ。それでちょっとだけ教えて貰いました」
君は悪戯っぽく笑った。
…笑顔。
誰もが欲しがる君の笑顔。
この瞬間、僕だけに向けられる…。
今、僕のファインダーには君しか写らない。
「ねぇ、お腹空かない?七星ちゃん」
僕は彼女を誘う。
「そう言えば…ちょっと」
君は少し照れて答える。
「じゃ、どこか寄ってかない?」
僕はカメラをしまいながら、君に聞いた。
「撮らなくていいんですか?」
「うん、今日は何となく来ただけだから」
立ち上がると僕は、彼女に手を差し出した。