夏の幻*
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『あ、じゃあ帰ります』
椅子から立ち上がると、手塚先輩にぺこりと頭を下げ、そのまま通り過ぎるはずが…手塚先輩に手を引き寄せられ、昼休みの続きのように抱きしめられた。
『…恐くなかったか?』
『だ…大丈夫です』
(だから、離して下さい…)
手塚先輩の腕の中で、どうすれば…とぐるぐると考えるだけで答えは出ない。
数十秒間、たっぷりと抱きしめられると、手塚先輩はやっと腕をほどいてくれた。
部室を出ると、手塚先輩はドアに鍵をかけ、
『何かあったら俺に相談してくれ…心配でたまらない』
と、あたしを見つめて言う。
『はい…ごめんなさい』
もう一度頭を下げた。
空が明るくなり始めている。
雨も間もなくやむ─
結局、あのダブルスのストテニを見ていた他校生から『二人の越前リョーマ』の噂が流れ、試合をしたいと言う申し込みが来てしまったのだ。
一人はテニス部員ではないから…と言う理由で、手塚先輩が部長として断りを各校に入れてくれて、一件落着。
「七星さん、大丈夫?」
渚さんが、あたしを心配そうに見ている。