夏の幻*
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『高寺から離れろ』
不二先輩の腕が、緩やかにほどけた。
(ふう…)
あたしは、やっとひと息つく。
雷も少しずつ遠去かっていく。
だんだんと雨も小降りになって来た。
『高寺、大丈夫か?』
手塚先輩が、入り口から数歩であたしに近づき、不二先輩と並ぶ。
『すまない、部室の鍵を開けたところで、生徒会の用事で呼ばれて…』
『あ、いえ…』
あたしが言った時─急に部屋の電気がパパッ…とついた。
思わず電灯を見上げる。
『復旧したね』
不二先輩が口を開いた。
『不二…どうしてここにいるんだ?』
『帰りかけてここを見たら、休みなのに電気がついてたから、様子を見に来ただけだよ』
『…そう…か』
『手塚に言われる前に、僕は消えるよ。じゃあね、七星ちゃん』
不二先輩は、明るく微笑むとドアを開けて外へ出た。
少しホッとした。二人が目の前で並んでいると、やっぱり落ち着かないもの。
『すまない、実はまだ生徒会の仕事が終わってないんだ。それで、わざわざ呼び出しておいて何だが…先に帰って構わないから』
手塚先輩がすまなさそうに言う。