夏の幻*
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(万事休す…)
そんな言葉が頭を過(よぎ)る。
『誰…?』
雨音をはね返して、不二先輩の声が耳に届く。
『…跡部さん』
なるべく先輩を見ないように、その名前を口にした。
『またあいつか…』
先輩が苦々しげに言うのがわかる。
『なぜ跡部はいつも用意したかのように、そこにいるんだろう…』
(今回は誘ったようなものよね…)
チラ…と不二先輩を見たら…。
『…呼んだの?』
(─ちょっと違いますけど…結果的には…ね)
『…七星ちゃん』
あたしが答えないでいると、テーブルについていない方の手が、あたしの頬に延びた。
『君…まさか跡部のこと…』
瞬間─カッと外が光った─と思ったら…物凄い音がして、ビリビリと窓ガラスが振動した。
(雷!)
思わず耳を塞ぐ。
凄い近い。
『…落ちたね』
先輩は外に視線を向ける。
また光った。
間髪を入れずに、雷鳴が続く。
『きゃ…』
音の大きさに、つい声を上げたら…目の前が白いシャツでいっぱいになった。
『大丈夫…僕がいるから』
不二先輩の両手があたしの頭の後ろに回り…しっかり抱き寄せられた。
もう一度光った時─
部室が真っ暗になった。