帝王の庭*
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「あーっ!」
乾が素っ頓狂な声を出した。
「え?」
「どしたんだよ乾」
乾が普段、声を上げるほど驚くことなどないので、周りもびっくりして乾に注目する。
「いや、ちょっと戻してくれ。越前、お前も来いよ」
「…何スか?」
渋々着替えを終わらせると、皆が集まるノートパソコンの所に来た。
さっき氷帝の跡部が置いて行った『七星の記録』だ。
氷帝の体育祭の様子が写っている。
「七星ちゃんて何着ても可愛い~よね。ま、氷帝のってのがちょーっとアレだけどさ」
「でも、凄いよね。七星ちゃん。ほんと運動神経のかたまりみたいだよ」
リョーマもやっとチラ…と画面を見た。
しかし、今はパソコン画面より、保健室に行ったきり帰って来ない不二のことを気にせずにはいられない。
この間の手塚もそうだった…。
七星が目覚めるまで、つきっきりなのはわかる…。
わかるが…たまらない…。
「ここだ!ストップ!」
乾が叫んだ。
「わ」
あわてて大石が一時停止させる。
「なっ何だよ乾、驚くだろ」
「七星ちゃんて、確か一度もテニスしたことないんだよな?」
大石にはお構いなしに、腕を組んだまま画面を凝視する乾。
「うん、そう言ってたよ」
菊丸が答える。
「じゃあ…この見事なサーブは何だ…?」
「…え?」
その場にいた全員があわててもう一度、七星が初めてラケットを持って板をぶち抜くシーンを見た。
「ツイストサーブだ…」
大石がつぶやく。
(あいつがツイストサーブだって…?)
半信半疑で画面に近づくリョーマ。
「あれ?おチビだよ!このフォーム!おチビのツイストサーブのフォームだよ!」
菊丸も興奮して、叫びながら画面を指差す。
(俺の?)
あわててリョーマも、椅子に座っている大石の後ろから覗き込んだ。
七星の動きは少々ぎこちないが、一撃で的のど真ん中を打ち抜いている。
「あいつ…何で打てるんだ…?」
リョーマが画面に吸い寄せられたままつぶやく。
「見ていたんだよ、越前を」
乾が言った。
(─俺を…あいつが見てた…?)
「おそらく見て覚えて、その通りに体が動く…凄いよ。氷帝の樺地に匹敵するんじゃないか?」
乾のデータマンとしての興味が、新たに湧いているようだ。
(あいつが…)
自分を見ていた…。
それがとてつもなく嬉しかった。
あいつは、いつも空ばかり見ていた…。
するのは星の話だ…。
空と俺…。