夏の幻*
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「…病院」
「…え…?」
「だから、あいつの行き先、病院だってば」
「病院─?」
さっきと打って変わり、驚いたような表情で幸村がリョーマを見すえる。
「─今頃は跡部さんの車の中で、疲れ果てて寝てる」
「…どう…して」
「知ってるでしょ、あいつの事故。後遺症…みたいなもので、可動時間、走れる距離…全部制限がかかってる。それを越えるとオーバーヒート…倒れるんス…」
最後のひと口を飲み干すと、リョーマは立ち上がった。
「だから…テニスは出来ない…」
(それで…『テニス禁止令』か…手塚ならやるな…守るために…)
「どうした精市、越前はもう行ってしまったぞ?」
真田が、いつまでも戻らない幸村を心配してやって来た。
「あ…ああ、ちょっと考えごとをして…」
「でも悩みは解決したようだな。さっきよりは表情がある」
柳が幸村の顔を見て、言った。
「そうだな。越前からいい情報でも貰えたんかいのう」
「そんなところだ。さ、帰ろうか」
幸村もようやくベンチから立ち上がった。
午後の日差しがテニスコートに降り注ぎ、ストテニを始めた人達の歓声とボールを打つ音を煌(きら)めかせた。