125キロの加速 ナツのオトメ3*
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鳥の声が聴こえる。
樹々の葉ずれの音が、午後の風にそよいで一服の涼感を与えてくれる。
それでも時折、下から吹き上げられた風に乗って、クラクションや喧騒が届き、樹の陰にビルが覗くと、否応なしに現実に引き戻される気がする。
「空中庭園だね、ここは」
あたしは、幸村さんに連れて来て貰ったデパートの屋上で、公園と見まごうほど見事に整えられた景色に目を見張った。
「素敵だろう? とてもデパートの屋上とは思えないから、時々学校帰りに寄るんだ」
ふふ…と嬉しそうに、幸村さんは微笑んだ。
二人並んで、ベンチに腰をかける。
「…明日だね」
「あ、はい」
幸村さんが空を見上げながらつぶやいたので、あたしも上に、視線を移動させた。
ほとんど色のない…かすかな水色に近い空に、薄い雲が所在なげに浮かんでいる。
(何だかあたしの気持ちみたい…)
薄い雲は、少しずつ広がり次第に空に溶けてしまった。
「一度聞きたいと思っていたんだけど…」
空を見ていた幸村さんが、不意に視線をこちらに向けた。
「あ…はい」
「君の気持ち…」