125キロの加速 ナツのオトメ2*
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そんなことを考えて、ぼんやり夜空を見上げていたら、携帯にメールが入った。
(幸村さん…)
《星を見ているのかな? 今夜の星はひと際輝いているね。まるで君の瞳のようだ》
(………)
て…照れます幸村さん。
「七星ちゃん、どうかした?」
「いえ、ずっと上を見てたから首が疲れただけです」
あたしは、笑ってごまかした。
暗くてよかった。
明るかったら…幸村さんのメールで真っ赤になってるのがバレバレだもの。
一日目の天体観測は、結局午前3時頃まで続き、あくびをしながらベッドに倒れ込んだ時にはすでに鳥がさえずり始めていた。
目が覚めたのは、8時半。遅く寝た割には早い。同じ部屋の先輩達は、まだ布団をかぶったままだ。
もし早く目が覚めたら、順次朝食を摂り、自由行動…ていう取り決めなので、あたしは先輩達を起こさないようにそっと部屋を抜け出し、朝食を摂ると『カラマーゾフの兄弟』を手にペンションを出た。
木漏れ日の差す、とても寄りかかり具合のよさそうな木を庭から続く木立ちの中に見つけたあたしは、さっそく根元に座り本を広げ読み始めた。
…10分ともたなかった。
寝不足に加え、睡魔をお誘いする本、気持ちのいい緑陰を吹き渡る風、寄りかかりやすい木…。
いくつもの好条件に抵抗出来ず、あたしはいつの間にか本を膝に広げたままその場で寝入ってしまった。
「ふふ…何だか君は、いつも俺の前で眠っているね。…眠り姫なのかな…?」
…その人がくすくすと笑いながら近づいて来たのを、あたしはまるで気がつかずに眠りこけていた。
固い木に寄りかかって眠っていたはずなのに、あたしは知らぬ間に柔らかい枕に埋もれて眠っていた─
…ような気がした。
(…あれ…)
ちょっと目が覚めた…。
目をこする。
白い枕だ…。
気持ちいいな…。
もう一度目を閉じる。
枕が動いた…?
髪を撫でられた…。
(…あれぇ…)
目を全開にした。
─枕じゃない─
はね起きた。
微笑んであたしを見るその人と目が合った…。
「幸村さん!?ええっ!?何でっ!?」
驚いてのけぞったままのあたしに、幸村さんは穏やかな笑顔で答えた。
「言ってなかったかな、立海大の合宿もここなんだ」
「──」
…声にならない…。
なぜ、どこもかしこも集まるの…?