125キロの加速 ナツのオトメ2*
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「ルドルフは…不二先輩の弟がテニス部にいる」
リョーマくんの線香花火が、下に落ちて消えた。
「不二先輩の…?」
その時のあたしは、あの日…自転車で駅まで送ってくれた『裕太くん』が不二先輩の弟だなんて、知るよしもなかった。
「それは…全然知らなかったわ」
あたしの花火も下に落ちて、辺りは暗くなった。
「戻ろう」
リョーマくんは立ち上がると、あたしに手を差し出した。
「うん…」
あたしはリョーマくんの手に掴まる格好で、立ち上がった。
「…天文同好会はこれから活動するのか?」
合宿所の庭に向かいながら、リョーマくんはあたしに聞いた。
「うん、流れ星が見られて、星の状態もよければ明け方くらいまでやる…って会長は言ってた」
「はぁ…こっちは、空気もいいからって、早朝ランニングだぜ。やんなる」
ため息のリョーマくんを見て、腕組みをする手塚先輩とビリになったら乾汁…と言う二人の姿を想像しておかしかった。
「どこ行ってたんだよ、おちび~」
菊丸先輩が、リョーマくんに話しかける。
「…別に」
何でもない…と言う感じであたしから手を離すと、リョーマくんは、テニス部の人達の方へ歩いて行った。
「七星ちゃーん、行くよ~」
「はーい」
同好会の先輩の呼び声に、越前の後ろ側から返事をして早足で去る七星を見た菊丸は
「おちび、七星ちゃんと一緒にいたの?」
と、越前に聞いた。
「まぁね」
振り向いた越前は、ニヤ…と少し笑った。
花火大会の後、そのまま天文同好会は活動を始めた。
あらかじめセットしておいた天体望遠鏡を交互に覗いたり、星座早見表で星座の確認をしたり…。
都会の夜空は明るすぎて、あまりにも見える星の数が少ない。
ここの空は、星が輝く。
こと座のベガに白鳥座のデネブ、わし座のアルタイル…この三つで『夏の大三角』だ。
あたしは『アルクトゥルス』を探した。
『スピカ』はいない…。
スピカは…南の空にいる。
アルクトゥルスは北極星のある北の空に。
スピカは南十字星のある南の空に…。
それくらい遠く離れている。
それがいつか並ぶ。
アルクトゥルスはいつかスピカに追いつき、同じ空に並んで輝く。
あたしはその時、その二つの星を見ることが出来るのだろうか?
途方もない未来…。
その時、あたしの隣には誰がいるんだろう…。
少しだけ不安になる。