125キロの加速 ナツのオトメ2*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じゃ、その七星ちゃんは僕が面倒見てあげるよ」
にこ…と三つ星の不二スマイルを彼女達に献上したものの、それは彼女達を悦ばすだけで不二が考えたものとは、逆の効果を生んでしまった。
「ダメよ」
「不二くんは、あたし達と一緒にいてね」
(え……)
不二が、別方向からのアプローチに切り替えようとしたとたん
「乾く~ん」
あっさりと『七星の係』は、たまたま通りかかった乾に決められてしまった。
その夜、待望の花火大会がテニス部側の合宿所で開かれた。
テニス部と天文同好会で持ち寄った、仕掛け花火や打ち上げ花火…菊丸の仕掛けたねずみ花火で女子達はキャーキャー騒ぎ、夜もふけていった。
解散間際七星は
「来いよ」
そう言われ、返事をする間もなく薄暗闇から急に腕を掴まれると、合宿所の裏側に連れて行かれた。
「リョーマくん!」
ちょっと息を弾ませ、あたしは驚いてリョーマくんを見た。
「線香花火やろうぜ」
手に持った線香花火をあたしに見せると、屈託なく笑う。
(リョーマくん…久し振りに見た)
リョーマくんの顔を見てドギマギしてるあたしに、点火した線香花火を渡すと
「…ちゃんと見に来いよな」
花火を見つめながら、リョーマくんはポソ…とつぶやいた。
「え…? あ…ごめんなさい」
ホント…随分来なかったよね。
「顔…忘れちまうから…ちゃんと見せろ」
ジジジ…と小さな火の玉がはじける中、リョーマくんはあたしに言った。
「うん…ちゃんと行くね」
あたしもとろけて落ちそうな、火の玉を見つめながら答えた。
「…俺 お前の彼氏なんだって?」
「…えっ」
火の玉が落ちて、辺りが暗くなる。庭側で部員達が、仕上げの打ち上げ花火に興ずる声がひときわ高まる。
リョーマくんが新しく線香花火に火をつけた。
「千石さんに聞いた…」
リョーマくんは花火を見つめたままで言う。
「あっ…それは…とっさに…リョーマくんの名前を言っちゃって」
思い出して…恥ずかしくなった。
「…お陰で山吹と練習試合だ」
「ええ?」
驚いたはずみに、あたしの線香花火は、下に落ちてジュッ…と小さく音を立てた。
千石さん…本気なの?
リョーマくんの花火から、火を分けて貰って新しく花火がはじけ始めた。
「…ルドルフと氷帝も来た」
「……氷帝は…わかる。でも…ルドルフ…て?どこ…?」
あたしは混乱した。