125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「やぁ…」
病院から出ると、思いもよらない人に声をかけられ、驚いてしまった。
「日吉さん…どうして?」
「さっき…喫茶店にいた君と…立海大の真田さんを見た。それでつい…」
後をつけて、病院前で真田さんと別れたからホッとしたけど…あたしを待ちたかった…と日吉さんは言った。
「どうして…真田さんと…?手塚さんとは終わったの…?」
遠慮しながらも日吉さんは、知りたいことは外さず聞いて来る。
「真田さんは将棋友達です」
日吉さんは、あまりに意外な答えだったらしく、ちょっとびっくりした顔をした。
「将棋…?」
「ええ、あたし囲碁や将棋が趣味なんです。今日は真田さんと待ち合わせして、喫茶店で打ってたんです。…全然女の子っぽくないでしょ?」
ちょっと笑顔で日吉さんに言った。この趣味の渋さで嫌がってくれたらいいんだけど……。
「そうだったのか…いや、凄いんだな。あの真田さんと互角に打てるんだろ?喫茶店にいた真田さんは、かなり考え込む顔をしてたから…俺…不安になったよ。真田さんにも告白されているのかと思って…」
ホッとしたような、照れ笑いを浮かべると日吉さんはあたしを見た。
「まさか、真田さんはあたしといる時は、将棋のことしか考えていません。まだ一度もあたしに勝ってないから…」
あたしは思わず、くす…と笑った。
「じゃ…手塚さんとは」
日吉さんは、今度は探るようにあたしを見た。
ここからが『嘘』のスタートだ。だから、変にドキドキする…嘘をつく時は、ホントも混ぜた方が成功率が上がるそうだけど…あたしと手塚先輩のことは100%嘘だから…どこまで保つのかわからない…。
「あたしと…国光さんは…」
(つき合ってるなら名前で呼ぶわよね…?)
「たまにケンカすることもありますけど、普通に変わらないです」
一気に話して、チラ…と日吉さんの様子を窺った。
『国光さん』が効いたような感じ…もする。
「…手塚さんは君を七星と呼ぶ…」
つぶやくように日吉さんは言った。
「ねぇ…七星さん」
「はい…?」
地面を見ながら日吉さんは、少し真剣な口調であたしに言った。
「俺が君を得るためには、君と何を賭けたらいい?」
ゆっくりと日吉さんが、あたしに視線を移した。
(…忍足さんとの賭けのこと…?どうしよう…あの手は一度しか使えない…あたしは50メートル以上は走れないから…)
あたしは、追い込まれ始めた…。