125キロの加速 ナツのオトメ1*
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そう言いながら、カップを大石に渡すと、世にも怪しい乾汁を注いだ。
「残念賞だ」
「えっ…遠慮するよ」
ジリ…と後ずさる大石に、ぐぐっと迫る乾。
「いらないなら僕が貰うよ」
そう言うと、クーッとひと息に飲み干す不二。
「丁度、喉渇いてたんだ。サンキュ」
カップを乾に返すと、自分の棚にバッグを置き、着替え始めた。
「乾、さっきの『機会』だけどさ…」
菊丸も着替え始めると、改めて乾に話題を振った。
「奇怪だ」
眼鏡を指で押し上げると言った。
「えーっ?奇怪?怖いの?やっぱ肝試し~?」
一人で騒ぐ菊丸。
「氷帝から、練習試合の申し込みがあった」
手塚が部室に入りながら、言葉を足した。
(氷帝…忍足だね。ふふ…あれだけ誘ったんだ。来てくれないとね…)
不二は着替えの手を止めると、忍び笑いをした。
「氷帝も…!? 立海大に山吹にルドルフ…どこが練習試合なんだ?関東大会の間違いじゃないのか?」
思わず目を丸くする、大石に
「望んでも、大会では当たらない時もある。こんな機会は滅多にないぞ」
「じゃあ、『油断せずに行こう』…だね、手塚?」
着替えの終わった菊丸が、笑って言うと
「いや…全力で叩き潰す」
淡々と着替えながら、自分に言い聞かせるように言った。
手塚の予想外の言葉に一瞬、部室がしん…となるが、
「願ったり…スよ。俺も誰にも譲る気ないスから」
横目で手塚をチラ…と見ると、リョーマは言った。
「何言ってんだよ~。おちびがレギュラーから外れるわけないだろ~?」
場の空気を読み損ねている菊丸が言った。
(ふふ…始めはさんざん、『彼女じゃない』って言ってたのにね。いつから変わったんだい?知りたいよ、越前)
あたしは今日、委員会も何もない。宿題を済ますと、最大の敵『カラマーゾフ』に手を伸ばした。
…とたんメールが入った。
《幸村の見舞いに行く前に、今 打ってる分を打ちきらないか?》
真田さんに誘われるまま、待ち合わせの喫茶店に行った。
「…幸村さん、もうじき退院される…って昨日おっしゃってましたけど、そうしたら自宅静養なんでしょうか?」
あたしは真田さんに聞いてみた。
「いや…例年、軽井沢だか、清里だかに避暑に行ってる」
考えながら、真田さんは言ったけど…
(避暑…って、別荘?いいなぁ…)
あたしは思わず、高原の白樺に寄りかかる幸村さんを想像してしまった。