125キロの加速 ナツのオトメ1*
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(…のひゃっ…)
目を開けた不二に、じろ…っと睨まれ、氷柱化する忍足。
(七星ちゃんの言うた通りや…このカワイコちゃん…ただでは食えへんな…)
忍足も、負けずにじっと不二を見つめ返す。
「ふふ…そんなに僕を見つめて…何かされたいわけ?」
「─えっ?お?ちゃ、ちゃうで!?んなわきゃあらへんやろ~っ!」
いきなり、はぐらかされ心底焦りまくる忍足。
「君、負けず嫌いのわからず屋にしては、可愛いとこあるんだね」
不二の開いた目が、人を見下すような眼差しに切り替わり皮肉に笑う。
(はぎゃ~言われ放題やな~し…しかし、ここでひるんだらアカンて)
「か…可愛えって言われても嬉しないで。俺、男やし。そんなん、なんぼ言われたかて屁でもないわ」
幾分平静さを取り戻したかのように、大袈裟に両手を広げると忍足は言った。
「…わかってないね。言葉でじらすのも男のたしなみだよ」
サラ…と艶のある流し目で言われ
「ひゃわーっ。ドキドキした~。今マジに男のお前にクラッと来たで~っ!まずいわ、ホンマ」
よろめくようにあわてて2~3歩、忍足が不二から離れた。
「わからず屋の上に騒がしいなんて…ほんと、ねじ伏せたい衝動に駆られるよ」
口の端だけがわずかに上がると、下から睨(ね)めつけるように不二は言った。
(いっ…)
眼力で威圧され、忍足はその場に釘付けになった。
「君のようなわからず屋を、屈服させるのは僕の密かな楽しみだからね…」
開いた眼とは対照的に、閉じられた口許が、うっすらと微笑みを型どった。
(た…魂抜けるかと思たわ…)
不二から視線を外せず、不覚にも身震いをした。
「じゃ、次に会うまでちゃんと僕を待っているんだよ…いいね」
その場から離れると、背中越しに、眼だけで振り向きながら不二がそう言った。
もう笑顔はなかった─
「…棘だらけの薔薇やな。しかも、人の手の入らん野生の薔薇や。ちっとやそっとじゃ花瓶に収まらんやろな」
やっとゆとりが出たのか、ニヤリと笑って忍足は言うと、何かを思いついたようは表情でテニスコートに引き返した。
「奇怪だ」
そう言いながら乾は、青学テニス部の部室のドアを開けた。
「機械?何かテニス用具でも買うのかい?」
と、大石が言った。
「機会だよね?チャンスでも来た?」
と、菊丸も言う。
「…菊丸が近いな」