125キロの加速 ナツのオトメ1*
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…冷や汗も出て来た。
急激な運動で…あたしの体が追いつけないでいる。
(まずいな…手が震えて来た…)
全身から血の気も引き始めている…。
(ヤバいよ…こんなとこで気絶したらまた忍足さんに逆戻りだ…あんなに必死に振りきったのに…)
でも、もうあたしの足は体を支えることが出来ず、ついに膝を折ると地面に座り込んでしまった。
「ハッ…ハッ…」
自分の呼吸する音が、早く浅く、耳につく。
倒れそうな体を、辛うじて氷帝の塀と震える手で支える。
「どうした?具合が悪いのか?」
─誰かが、あたしの後ろから声をかけて来た。
頭も塀に寄りかからせていて、振り返る気力もない。
「…見ての通り…」
会話も限界…。
「仕方ない。送ってやるぜ。青学でいいんだろ?」
─誰……?あたしを知ってる…?
急に視界の景色が流れた。
見えたのは… あわてて、倒れ込むあたしを支えようと駆け寄った男の人だった…。
青学の正門前に、車が横付けされると、中から七星を抱き上げた男が降り立つ。
「…保健室か、テニス部か…って言ったら、テニス部だろうな」
ふっ…と笑うと、男は練習の音と声が響くテニスコートを目指して歩き出した。
「──え?」
「七星ちゃん?」
「え!七星ちゃんなの?」
テニスコートに現れた、七星を抱きかかえた男…を見て、コート中が一斉にざわついた。
「手塚!大石!大変だよ!七星ちゃんがっ!」
あわてて、部室で打ち合わせをしている二人を呼びに行った菊丸が叫んだ。
「何?」
「どうしたんだ!菊丸」
言いながらも、部室を飛び出す手塚と大石。
手塚の視界に、ぐったりとした七星が男に抱き上げられている姿が入った──。
「七星…!」
男の前に立つと、ぐっ…と睨みつけるように聞いた。
「なぜお前が…?跡部」
「ふっ…心外だな、手塚。これでも俺は、彼女の救世主なんだぜ?」
ニヤリ…と口の端を上げると手塚に言った。
「救世主だと…?」
抱きかかえる跡部を、『早く七星を離せ』…という視線で凝視する。
(ほお…忍足が言うように、手塚の彼女…って言うのは本当らしいな。この手塚の、冷静を装う狼狽ぶり…面白れぇ)
「ま、話せば長くなるんだが…」