125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「あ~暑いやんなぁ」
「…夏ですから」
「ガリガリくん食べるか?」
「…雪見大福が好きです」
「コーラ飲まへん?」
「炭酸は苦手です」
「………」
「………」
「ひどっ!七星ちゃん、さっきから俺に冷たすぎるで~」
「…ひどいのはどっちですか。もう氷帝には来ませんって言ったのに待ち伏せなんかして…」
ここは、氷帝学園テニス部テニスコートのベンチ。
あたしは今朝確かに青学を目指したはずなのに、なぜか正門にいた忍足さんに、よく言えば言葉巧みに、悪く言えば嘘八百で、また氷帝に連れて来られてしまった。
(学習しないあたしも何だけど…今日は委員会だったのに~)
「なぁなぁ、七星ちゃんの言うこと何でも聞くよって、もちっと笑うてくれへん?」
忍足さんが一生懸命あたしの機嫌を取ろうとするけど…
(楽しくないのに…これなら『カラマーゾフの兄弟』を読んでる方が数倍ましかもしれない…)
ため息をついたら、ふと…『こんな時不二先輩だったら…』と言う妙な考えが浮かんだ。
時々不二先輩は、菊丸先輩に毒舌を吐く…。
あんな感じで、忍足さんにひと言言えたら、スッキリするだろうなぁ…。
そのひと言を考えてたら、自然に笑いがこみ上げて来た。
「あっ!七星ちゃん、笑うてくれたん? 嬉しいわぁ」
(…そうじゃないんだけど、おかしくて…自分でツボにはまってしまったみたい)
「けど、何がおかしいん?俺にも教えてんか?」
忍足さんが嬉しそうに聞いて来る…。
(…もしかしてあたし、勇気出せるかも…)
「それは…」
あたしは忍足さんに、説明した。
「へぇ…不二がね~。カワイコちゃんやのに、口悪いんかい」
忍足さんは感心したように言って…
「んで?不二やったら、俺のこと何て言うん?」
興味津々に聞いて来た。
あたしは、ベンチから立ち上がると、忍足さんを見下ろし、思いっきり不二先輩の真似をした。
『君、案外ウザイね』
「ひょはっ…!?」
忍足さんが固まった。
あたしは、そのままくるっと踵(きびす)を返すと、テニスコートを後にした。
「七星さん!」
「七星ちゃん、待ってぇな~!怒ったん?」
日吉さんと忍足さんが追って来た。
あたしは、にっこりして振り返ると忍足さんに言った。
「あたしと賭けをしません?」