125キロの加速 ナツのオトメ1*
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あたしが半年間見続けた四角い空…。
幸村さんはどれくらい見ていたのだろう…。
もう一度、幸村さんの顔を見た…。
今は…あたしの名前も呼ばないし…あたしの目も見てはくれない…。
幸村さんは、掛け布団の上に手を出して、眠っている。
幸村さんの手を…細い指先をじっと見る…。
あたしの髪に触れた指先…
あたしの頬に触れた指先を……見つめる。
そっと…触れてみた。
少しだけひんやりした…。
(いつもこうだっけ…?)
いつも恥ずかしがるばかりで、幸村さんの手を、ちゃんと覚えていないことに気がついた。
(だめだな…あたし…)
またそっと…今度は掌を重ねてみる…。
(あたしの手…小さいな。鍵盤でオクターブ届かないもんね…)
あたしの手は、幸村さんの手の中にすっぽりと隠れてしまった。
幸村さんの手を見ながら考える…。
(あたしって幸村さんの何だろう…)
よく考えたら、あたしは幸村さんのこと何も知らない。
知らないことばかりだ…。
じっと手を…見ていたはずが…………
気がついたら…
寝ていました、あたし…。いつの間にか…ホント…。
ハッ…と目を開けたら、さっきと変わらず目の前に、幸村さんの掌に指を絡めて重ねている自分の手が…
あたしは幸村さんの腕を枕にしていました…。
そして、さっきと違うのは…幸村さんの手の暖かさと……
ここが、試験に出るかもしれないくらい、大きく違うんですけど………
幸村さんが…起きてました……。ハイ…。
ハッ…として、目を開けた後、そろ~…っと頭を反転させたら…にこ…っと微笑む幸村さんと、ご対面してしまいました。
「幸村さん!?ごっ…ごめんなさい!」
あたし、お見舞いに来て何やってんのよ~っ!!
あわてて幸村さんの手から重ねたままの自分の手をほどこうとしたら…ぎゅっ…と幸村さんが、あたしの手を握り込んだ…。
「離さないで…初めて君から繋いでくれたのだから…」
微笑みながら、じっとあたしを見る…。
さっきまで閉じられていた綺麗な瞳で…あたしを…見る。
「俺の手のひらに花が舞い降りたのかと思った…」
ふふ…と優しい眼差しであたしを見る…。
いつも恥ずかしくて、すぐ逸らしていた幸村さんの瞳を…あたしは初めてちゃんと見た…。
「…幸村さんは…空に憧れましたか?」
「…え?」
「病室の窓の空…」