125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「肝試し~?」
河村がそんなのやるのか?…という顔で菊丸を見た。
「夏・合宿…とくれば肝試しっしょ~?な、大石!」
大石の肩に手を置き、にっこりと笑う菊丸英二。
「いや、それは…」
わからないよ…という目で不二を見る。
「ふふ…英二『袋叩き』って言葉知ってるよね?」
不二はいつもと同じ笑顔を菊丸に向けて言った。
「み…みぎゃ~!」
菊丸は不二から飛び退くように後ずさった。
騒ぐ部員をしり目に、一人淡々と着替える部長の手塚。
(…皆に伝えるべきだろうな…)
部活の始まる少し前、同じクラスの山下が手塚を呼び止めた。
『手塚、テニス部の合宿、八ヶ岳のどこだって?』
『え…?なぜだ…』
『いや、俺達の天文同好会も八ヶ岳で…このペンションなんだ』
山下はそう言って、同好会のしおり用地図を手塚に見せた。
『お前…天文だったのか…』
『だよ。…どうだ?』
手塚は動揺を押さえ
『ちょっと待て。テニス部の予定表を持って来る』
お互いの地図を照らし合わせると、テニス部と天文同好会の合宿先は、わずか3軒しか離れていない上に、日程も重なることがわかった。
『偶然だなー。よろしくな、手塚。そうだ、よかったら何か自由時間のイベントを合同でやらないか?』
『いいな』
『よし、じゃ何かテニス部でも案を出してくれるか?細かい事はまた明日な、ほんじゃ』
山下が行った後、自然に顔がほころんだ。
着替えが済んだ手塚は、カバンを手に取り
「菊丸、肝試しはわからんが、花火は出来るだろう」
着替えを再開した菊丸に言った。
「えっ…?まさか、手塚それって…」
菊丸は、びっくりしたような目で手塚を見た。
「さっきわかった。天文同好会は3軒先のペンションだ。日程も重なる」
「やった~!」
菊丸達の雄叫びを背中に部室のドアを閉め、手塚は生徒会室に向かった。
「~~~つ~ま~ん~な~い」
あたしは、『カラマーゾフの兄弟』を睨んだ。
手塚先輩を待つ間、少しでも読み進めようとしたけど…。
おまけに生徒会室誰もいないし…。
(実行委員長~ほんとに手塚先輩来るんでしょうね~)
カラマーゾフの兄弟を読みながら、たまに来る真田さんからの将棋メールに返事をして、あたしは手塚先輩を待った…。
待っ…。
待…。
…
「ふぅ…」
小さく息を吐くと、手塚は生徒会室のドアを開けた。
(隠せるものでもないしな…)
そう思いながら、会長の机に目をやった。