125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「あー、そういやその子、さっきまでここにいたんやけど…テニス知らんのに、跡部が一番強い、言い当てよったで?ほんま、ええ勘しとるわ…」
脱力したように大きく息を吐くと、忍足は言った。
「ほぅ…。俺様の美技は素人をも虜にするのか。ふっ…困ったものだ」
一人酔いしれ、悦に浸る跡部景吾。
(困るんやったら使わんでええやん…)
「それじゃ…七星さん…今日は本当に嬉しかった…」
別れ際、あたしの目をじっと見つめて幸村さんは言った。
(嬉しい…?楽しい…ではなく…?)
恥ずかしさに首をすくめながらも、辛うじて幸村さんをちょっとだけ見つめ返して、そう思った。
「ふふ…君が俺に『迎えに来て』…ってお願いしてくれたから…嬉しかったんだ」
あたしの心が見えるかのように、幸村さんは言った。
「俺を動かせるのは君だけ…。君のためにだけ俺は動く…」
そう言うと、信じられないほどの、至近距離であたしの手を取り自分の口許に寄せると…手の甲に唇を軽く押し当てた。
「――!!」
(うっ…きゃっ…ひゃ~ ゆ…幸村さんて、お…王子様だったの~こ…こんなことサラ…っとやってしかもサマになるなんて…)
あたしは、真っ赤になったまま硬直した。
「ふふ…七星さんは、本当に初々しくて可愛らしい」
至近距離のまま微笑むと、さらに幸村さんの整った、綺麗な顔が近づいてきて…。
(ひわっ…あたしの首筋や頬に…幸村さんの髪が…あの…かかる…んですけど…)
もう鼓動は、どうにもならないほどの早さを記録した。
「本当に…俺は君が…好きだ…」
そっと…耳元で囁かれた。
そして身を縮めていた、あたしの前髪に触れた…。
「また…呼んで欲しいな…」
至高の微笑みをあたしに向けてくれたのに…あたしは余計硬直してしまい、ただこくこくとうなずくだけで、精一杯だった。
「お前は…」
「え…?」
幸村さんと別れて、駅で切符を買おうとしたら、不意に声をかけられた。
「真田さん!?」
幸村さんに続いてだから、ちょっとびっくりした。
「…そうだ、ちょっと茶店につき合ってくれないか?」
あたしを見て何か思い出したように、真田さんは言った。
「え…でも」
(もう帰るつもりだったから…)
「一局頼みたいんだ」