125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「何…?」
幸村さんは、優しい眼差しであたしを見下ろした。
「…あの…手を…」
離して下さい…と、言いたかったのに、恥ずかしさのあまりただうつむいてしまった。
「…七星さんは、俺をどう思っているの…?」
「…え、どう…って?」
「好きと嫌いなら…どっち…?」
「え…あの…」
うつむいていても、幸村さんがじっとあたしを見ているのがわかる…。
「…嫌い…じゃありません…」
あたしは曖昧に答えた。
「じゃ…好きに入るんだね? よかった」
と幸村さんが微笑むと、少し強く抱き寄せられた…。
鼓動が早くなる…。
目をギュッ…とつぶって考える…。
忍足さんといた方がよかったのかな…?
ううん…あたしは忍足さんから逃げたくて…幸村さんに助けを求めたようなものだから…どっちも同じ…。
『前門の虎 後門の狼』
あたしはふと、そんなことを考えてしまった…。
どっちが虎でどっちが狼か…。
…それは置いといて…。
『あんたは誰が好きなんやろな』
忍足さんの言葉が引っ掛かる…。
誰…って…いいな…とか素敵…とかならあるけど…あたしにはまだ『好き』がわからない…と思う…。
「幸村をけしかけん方がよかったな。そうすれば少なくとも今の時間、あの子はここにおったはずや…あ~アホなことした」
忍足は、残念そうにテニスコートに戻った。
「何してやがる」
ベンチで休憩に入った部長の跡部が言った。
「あ~せやな~恋煩いしてる可能性大やな」
「あーん?恋煩いだぁ?余裕だな、忍足」
ドリンクを口にしながら、何馬鹿げたことを…と半分見下した感じで、忍足に視線を向けた。
「ムッチャ可愛ぇ子でな、言ってみれば『青学の華』やな」
こぶしを作りふふん…と笑う。
「青学だと…?何で他校から選ぶ?」
うさん臭そうに忍足を見る。
「恋に国境はあらへん。俺はグローバルなんや」
フン!と鼻息で笑う。
(グローバルだぁ…?グローブの間違いじゃねぇのか…?女なら片っ端からキャッチしそうだぜ)
「…忍足『氷帝の華』は誰だか知ってるか?」
ベンチから立ち上がると、跡部が言った。
「氷帝…やと?」
じっと自分を見下ろす跡部と、ガッチリ視線がぶつかった。
「…お前か?跡部」
「その通り。俺様こそ華麗なる氷帝の華!」
高らかに笑う。
(野郎が華…勘弁してぇな…)