125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「兄貴…」
「裕太!?」
不二周助はびっくりしてベンチから立ち上がった。
青学テニス部テニスコートに聖ルドルフにいるはずの弟、不二裕太とマネージャーの観月はじめが現れたからだ。
「…まったくおかしな日だ」
観月と裕太を見て、乾はまたつぶやいた。
「どうしたの?裕太」
嬉しげに微笑んで、弟裕太を見る兄の不二周助。
「…俺…兄貴を叩きのめすことに決めた」
兄の微笑みとは対照的に、悲壮な決意をしたような表情で不二周助を見た。
「…僕を? またどうして…?」
少し怪訝そうな顔になり、裕太を見つめる。
「…あの時の自転車の子…やっぱり俺のものにしたい」
「…七星ちゃんを…?」
不二周助は眉をひそめた。
「…もらうよ。兄貴」
睨むように、兄を見る弟。
「…あげない…と言ったはずだよ」
ゆっくりと瞳が開くと、真正面から弟裕太を見据えた。
(んふ…見物ですね。私怨で戦う兄弟対決…なかなか面白くなりそうですよ)
観月は二人を眺め、ほくそ笑んだ。
聖ルドルフと青学の練習試合…。立海大とも日程は組まれた。それに、山吹も越前を通して申し込みに来ると言った─。
まだある…氷帝の日吉とさっきの忍足の動き…。
ふふ…これ、全部君一人の仕業だね?七星ちゃん。凄すぎるよ、君の魅力。ほんの退屈しのぎのはずが…今は…君がどこかに飛んで行きやしないかと、ハラハラし通しだからね…この僕がさ。自分でも驚いているよ。
面白そうに、事の成り行きを一人ベンチに座りながら考える不二だった。
「じゃ、行こうか、七星さん」
そう言うと、幸村さんはあたしに手を差し延べた。
…ためらったものの、流れ上仕方なくその手を取った。
でも、幸村さんはあたしの取った手をゆるやかに反対の手に持ち変えると、最初の手をあたしの肩にそっと置いた。
「…それじゃあ」
にこやかに忍足さんに挨拶すると、幸村さんはあたしの肩を抱き寄せて歩き出した。
「んー…すんごい威圧感や。眼力…ちゅーか、さすが立海の部長やな。あんな、虫も殺さんような顔して…。ただもんやないな…こりゃえらいこっちゃ…敵は手塚やない。幸村やったか…」
二人の後ろ姿を見送りながら、忍足は漠然とした焦りを感じていた。
「あ…あの…」
氷帝から離れ、忍足さんの姿が完全に見えなくなるとあたしは、幸村さんを見上げた。