125キロの加速 ナツのオトメ1*
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『幸村さんが手塚先輩から奪い取る』…って忍足さんは言ったけど…それ違います。
幸村さんは不二先輩との仲を誤解して……。
あぁ…こんなことなら、不二先輩との仲を誤解されたままにしておけばよかった…今さら遅いけど…。
誤解したままなら、幸村さんだって、あんな強気な態度に出なかったと思う……優しい人だから…。
だから…幸村さんはあたしに彼がいない…って知ってる…。
ごまかせない…。
でも今はとにかく、幸村さんにメールをしないと…。
あたしはすぐ横にいる忍足さんを気にしながら、幸村さんへのメールを打った。
《今日、時間ありますが、あたしは今、事情があって氷帝学園にいます。もし、幸村さんが、あたしを氷帝まで迎えに来て下さるならお逢いします。》
打ち終わると、ため息と一緒に送信した。
「どれくらいで返事が来るんかな~」
…忍足さんがニヤリ…と笑った瞬間、返事が来た。
「早っ!!」
忍足さんがびっくりしてのけぞった。
幸村さんの返事は…
《すぐ行くよ。》
だった…。
あたしは、青学で会った時のほっそりとした、穏やかな微笑みの幸村さんを、思い出していた…。
頬に触れた細い指も…。
「ひょ~。ぞっこんやな~。幸村はあんたに」
感心したように、忍足さんはあたしを見た。
「じゃあ 正門で幸村を待たなあかんな…」
日吉さんに、用事で帰ることを告げると、凄くガッカリした顔をしたけど忍足さんが
「また、手塚からかっさらって来る」
…って言うと、顔がほころんだ。
(もう…あたしは氷帝になんて来ませんから)
あたしがいくら怒ったような顔をしても、忍足さんは取り合わず笑うばかりだった。
「お待たせ」
校門に寄りかかるあたしの背中に、優しい声が少し遠慮がちにかけられた。
「あ…いえ…」
振り返り、答えかけたあたしをさえぎるように
「えらい早いなぁ。さすが立海大の幸村やな…」
忍足さんが、幸村さんの前に立ちはだかった。
「……君は…」
「この氷帝の忍足だ」
「…なぜ七星さんと…?」
「ん~、ちぃとばかし強引にご招待しましてな。賭けをしてたところですわ」
「賭け…?」
「せや、あんたが迎えに来るかどうかや。…もし来なければ…」
「来なければ…?」
「俺が家まで送れたのに。残念や」
「そうだったんだ。それは残念だったね」
幸村さんが微笑んだ。