125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「やほ、越前いる?」
「千石!?」
フェンスの後ろから声をかけられた乾は、驚いて振り返った。
「越前に用って…」
「越前に言うよ」
「わかった…」
…千客万来か? 妙な日だな。
乾は腑に落ちない顔をしながらも、越前を呼んだ。
「何スか?」
「山吹中の千石がご指名だ。…わざわざ来るなんて何かあったのか?」
「…? 何にもないスよ」
越前も腕組みをして考えるが、何もトラブルは思い浮かばない。
「…何スか。俺に用って」
フェンスの向こうの千石清純に話しかけた。
「ん~ちょっとね。ケンカを売りに…てのは冗談だけど、君をぶっ潰したくてね」
にこやかに宣戦布告する千石。
「…何スか、それ。俺…千石さんに、何かしましたっけ?」
やや呆れつつ千石に言う、越前リョーマ。
「君じゃないよ。七星ちゃんさ…」
笑顔のまま、目だけが真剣になってリョーマを見た。
「──!!」
『…リョーマくんて…テニス強い…?』
(こっちか!?立海大じゃなく山吹なのか!?)
「七星が…何かしたのか?」
探るように千石を見た。
(あのアホ…と言いたいが、今は別問題だな…)
「ほ~んと可愛いよね~?」
にこにこしながら嬉しそうに千石が言う。
「─?だから…何だよ」
千石の真意が読み取れず、戸惑うリョーマ。
「うん、だから一目で気に入って、彼女にしたかったんだけど…『越前リョーマが彼だから』って断わられた」
言ってから、じっとリョーマを見る千石。
「────な…」
…んだって…?俺が…七星の『彼氏』ってあいつが言った…?
「…違うの?違うなら別に越前リョーマを潰す必要はないんだ。俺が七星ちゃんの彼氏になるだけだから」
にや…と越前を見る。
「…違わない」
キッパリと千石に言った。
「それに、悪いけど千石さんに俺は潰せないよ」
帽子のつばの端から、挑戦的な目で千石を見上げ、不敵に笑う越前リョーマ。
「ふぅん。じゃ試合決定だね。改めて後日、申し込みに来るよ。じゃね」
越前に手を振ると、フェンスから離れて 立ち去る千石清純。
「何だって?千石…」
千石が帰ったので、リョーマに話を聞きに来た乾だが、リョーマがフェンスの金網を掴み、笑っているような、怒っているような表情のまま…しかし目だけは生き生きと輝いているリョーマを見て、声をかけそびれてしまった。