125キロの加速 ナツのオトメ1*
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その時、七星の携帯の着メロが鳴った。
「すみません」
忍足にそう言うと、背中を向け隠れるように携帯を開けた。
(…幸村さん…)
噂をすれば…なのか、その幸村からメールが来てしまった…。
《今日か明日…時間あるかな? 逢いたいんだ。─幸村精市─》
(どうしよう…)
(…幸村精市…って…まさか…立海大の…?)
七星がメールを見てから、上の空のようになったのが気になり、そっと画面を覗いた忍足はギョッとした。
「…あんた、手塚とは別れるんか…?」
探るように、七星に聞いた。
「…はぁ?」
(な…何の話?…別れるも何も先輩とつき合ってもいないのに…って…あ…そうか…あの時、先輩が日吉さんに、あたしの彼だって…言って…ああ、でも…今さら否定して…日吉さんに来られても困るし…)
「わ…別れたりなんてしません」
(ああ…演劇部に入ってればよかった…)
棒読みのセリフがわざとらしい。もう、頭の中はぐるぐるだ。
「…手塚はあんたに惚れとるけど…あんたは誰が好きなんやろな…」
忍足はそう言うと、チラ…と七星の携帯を見た。
七星もハッとしてあわてて携帯を閉じた。が、見られたのは間違いない。
「………」
「それ…立海大の幸村?」
(やっぱり見られた!)
今さらながら、隠すように携帯を手の中に握り込む。
「幸村とつき合うん?」
「…ゆ…幸村さんは…ただのメル友です」
「…けど幸村はそうは思ってへんかも…」
(…何なの~急に絡み出して)
「あの…すみません、これで失礼します。約束がありますので…」
忍足の言葉に困った七星は、とにかくこの場から逃げ出したい一心でベンチから立ち上がった。
「─!」
「それほんまに立海大の幸村?」
忍足は、七星の片手を掴んでベンチに引き戻した。
「あの…」
「ほんまに、立海大の幸村やったら今日は帰ってもええで」
なぜだかニヤ…と忍足は笑った。
「その幸村は、あんたに逢いたい言うんやから、『氷帝まで迎えに来て』って返信すれば来るやろ?どうなん?」
「あ…あの何で幸村さんが、来る来ない…になるんですか?」
たとえ幸村だとて、神奈川から急に東京へ来いと言われても無理な時は無理だろう。忍足の考えがまるでわからなくて七星の疑問も深まる。
「ん~実験やな…。手塚からあんたを奪うんやから、どこまで本気かどうか…の。それに俺といるあんたを見た時、どないな顔するか知りたいしな」