125キロの加速 ナツのオトメ2*
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(困ったな……)
日吉さんと自転車を押しながら歩く…。自然と目線は地面に落ち、日吉さんと顔が合わないようにしてしまう…。
「七星さん」
日吉さんも、別にこちらを見るでもなく呼びかけた。
「あ…はい」
少し戸惑いながら返事をする。…何を聞かれるか…大体想像はつく…。でも、あたしはその答えを用意出来ない…。
─ホント…どうしよう。
「先日の、幸村さんの件だけど」
(来た~っ!)
「君は、手塚さんとつき合ってる。しかし、幸村さんとも深そうだ…。あの幸村さん…君を離しそうにないな…」
「…………」
(…根本的に違うんですけど…今さら否定出来ないし…あの…でも……あたし…いつの間にか…二股してるヒトになってませんか?)
「─で、君の本心はどうなの?手塚さん…? 幸村さん…? それともまだ他にいる?」
(うひゃ…話だけ聞いてるとあたし…まったく節操のないヒトに聞こえるんですけど…)
「それは…」
答えのないまま、口を開きかけた時…。
「七星さんじゃないか?」
「…はい…?」
見たことのない、背の高い男の人があたしに呼びかけた。
(…誰…?あたしを知ってるみたいだけど…?)
「あなたは…!」
日吉さんは驚いている…。知ってる人らしい。
「ちょっと彼女と話したいのだが…いいか?」
その人は、眼光鋭く日吉さんを睨んだように見えた。
(…でも…目、開いてるのかしら…何だか不二先輩みたい…)
「……わかりました。じゃ、七星さん、また…」
仕方なく…と言う感じだったけど、日吉さんはあたしから離れた。
「ええ…どうも」
軽く会釈をして、戻って行く日吉さんの後ろ姿に、安堵の息を吐いた。
「ではな」
男の人は、あたしに話をするでもなくそのまま帰ろうとするので、逆にあわててしまった。
「あ、あのっ…!」
あたしは急いで、その人の背中に声をかけた。
「何か?」
(な…何かって、それはこっちのセリフなんですけど…)
「あの…あたしにお話しがあるって…」
戸惑いながらも尋ねると、
「ああ、あれは口実だ。君が困っている様子だったからな」
その人は、少し笑って答えた。
「え…でもそれじゃ、あたしをご存じなのは…?」
なぜ…?と続ける前に
「ああそうか、君は俺を見ていないんだ」