125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「お疲れ様~」
「また月曜日に」
学園祭実行委員会が終わり、あたしはすぐ帰ろうかどうしようか迷った。
テニス部のコートからは、ボールの音、部員達の声…が他の運動部の練習する音に混ざり聞こえて来る。
校庭のひと隅に立ち止まり
(どうしよう…)
と、しばらく動けずにいた。
「終わったん?ほな行こか?」
にこにこと、さっき会った氷帝の忍足さんが声をかけて来た。
「…え…本当だったんですか?」
びっくりして忍足さんを見てしまった。
「何や、冗談かと思ったん?俺は女の子は真面目にお誘いするよって、本気にして欲しいわ」
そう言うと、笑顔のままあたしの手を引いた。
「あのっ」
焦って、手を離して貰おうとしたら
「安心してや。妙な所に連れ込もうなんてせぇへんから。第一そんなんしたら、手塚にぶっ倒されるがな」
おかしそうに笑い、それでも手を離そうとはせず、あたしはどんどん遠くへ連れて行かれた。
着いた所は─
「日吉、差し入れや。ええもん持って来たでぇ~」
テニスコートにいる日吉若に愉しげに手を振り、声をかける忍足侑士。
「差し入れ…って」
「え~ぴよCーばっかりなの~俺にはないの~?」
練習の手を止め、対戦相手の芥川慈郎が、不服そうに忍足を見る。
「それがあかんのや、日吉専用なんよ。ほら」
そう言うと、自分の後ろに隠すように連れて来た七星を、日吉の前に押し出した。
「…─」
「─えっ…」
いきなり氷帝のテニスコートに連れて来られた上、何の心の準備もないまま日吉に突き合わされ、七星は途方にくれるしかなかった。
「七星さ…」
日吉もまた七星を見て、ただただ唖然とする…。
「何やの、日吉。もっと感激してぇな。人がせ~っかく苦労して、手塚の目をかすめて連れて来てやったってのに~」
「あ…驚き過ぎて…その…元気だった…?」
照れながらも嬉しそうに、やっと小さく七星に話しかけた。
「あ…はい、あの…お陰さまで…」
七星も両手を前に組み、緊張しながら返事をした。
「…見合いやな。まるで」
「へぇ…あの子ですか?日吉を変えた…いや…本当に鬼気迫る可愛さですね」
忍足に並ぶと鳳長太郎は、七星を見てそう言った。
「…長太郎、表現違てるで…」
(…何やスッキリせんな…)