125キロの加速 ナツのオトメ1*
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夏休みもほど近くなった、ある土曜日の青学テニス部テニスコート。
私服の男がフェンス越しに練習を見に来ていた。
(あかん…来てみたんはええけど…どないな顔しとるんか知らへんかったわ…はは…)
乾は、コートから私服の男を見つめる。
(氷帝の忍足じゃないか。何の用だ。偵察…とも感じが違うが…)
「何しに来たんだ、忍足」
近づいて声をかける乾。
「乾か…」
チラ…と声をかけてきた主に視線を投げたが、すぐに戻した。
「…ちょっと人探しに来たんやけど…」
「人探し?誰だい」
眼鏡が光る。
「名前も顔も知らへんのや」
「…それで探しに来てるのか?…お前ってそんな不確かな情報で動く奴だったのか?」
興味を持つ乾。
「好奇心には勝てへん」
「好奇心?」
(…いてへんみたいやな…。今見た限り可愛ぇ子は見当たらへんようやし…)
「邪魔したわ。ほな…」
フェンスから離れ、乾に軽く手を振る忍足。
「忍足?」
今度は乾の方が好奇心を持った。
「無駄足やったか…」
ため息をつき正門へ向かう忍足の目に、自分の満足出来る『ごっつぅ可愛ぇ女の子』が歩いて来るのが映った。
(あの子や!)
真っ直ぐに、学園祭実行委員会の仕事のため休日登校して来た七星に声をかけた。
「手塚の彼女ってあんたやろ?」
「…は?」
いきなり現れた、見も知らぬ男子から、妙なことを聞かれ焦る七星。
(へぇ…ほんま可愛ぇやん。これじゃ日吉が夢中になるんもわかるわ)
ジロジロと無遠慮に七星を眺める忍足。
「あ…あの、どちら様でしょうか?」
自分をジロジロ見る忍足に、どうしよう…と冷や汗の七星。
「あ、すんまへん。俺は氷帝テニス部の忍足侑士、言います」
七星に、にっこりと笑い自己紹介をする。
「氷帝テニス部…あ…日吉…さんの…?」
学生証を届けてくれたことと同時に、手塚に抱きしめられたことまで思い出し、恥ずかしくなる。
「せや。やっぱりあんたか~。ホンマむっちゃ可愛ぇわ。あれ以来日吉もあんたに夢中やで」
ニコニコと上機嫌で、七星を見る忍足。
忍足の言動が気になり、ずっと忍足を目で追っていた乾は、フェンスにへばりついて、コートとは無関係な方を見ている。
「こら乾、グラウンド10周だ」
つかつかと近寄る手塚。
「あ…七星ちゃんが忍足に捕まった!」
「何…?」