125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「え?」
ガム…と言われ振り向いたら男の人が二人立っていた。
「昨日の…?」
一人は記憶にあった。ガム少年だ…。
「あ、覚えててくれたんだ」
人懐こそうな笑顔がパッと浮かぶ。
「ええ…昨日会った…立海大の方ですよね…?」
「うんそう、ブン太って言うんだ。丸井ブン太。三年だよ。ま、シクヨロ…ってとこかな」
「…と、七星です。高寺七星。一年です」
「ふぅん…」
そう言うと、あたしをじろじろ見回すので、何となく居心地が悪くなる。
「あ…ガムですよね?…ちょっと待って下さい…」
あたしは制服のポケットから未開封の粒ガムを取り出すと
「どうぞ」
と丸井ブン太の手に渡した。
「─え」
「…あら…」
妙に驚く二人の男子。
「今朝、家を出る時のど飴と間違えて持って来ちゃって…だから差し上げます。じゃ失礼します」
軽く二人にお辞儀をすると、そそくさとその場を後にした。
「…持ってたぜ」
「…持ってたっすね」
さっそく新しいガムを開封すると、一粒取り出し口に放り込むブン太。
「で、どーすんです?実行するんすか?部長の彼女」
ニヤニヤと、おかしそうに笑いを浮かべる赤也。
「んーっ…」
口をモゴモゴさせながら、思案するブン太。
(実際…好みは好みなんだよ。可愛いしさ…。昨日見た時『いいな』…って思ったし…ホント、幸村くんの彼女でなけりゃ…)
黙り込んでしまったブン太を見て
(ふん…やっぱ、部長のだから尻込みしてんのか…。意外に気が小さい…ってことかな)
く…っとブン太に気づかれないように赤也は笑った。
あたしは、そっとテニスコートに向かった。あれからどうなったのかやはり気になる。
「あれ…」
レギュラーメンバーは誰もコートにいない。真田さんはベンチに座っているけれど、幸村さんはいない。
(どうしたのかな…)
ちょっと気になり、ベンチに座って何かしている真田さんの後ろに回り、フェンス越しに手元を見た。
(…将棋…)
マグネット式の小さな折りたたみ将棋を一人で差している。
相当集中しているらしく、あたしが見ているのに気づかない。
真田さんの手が止まって、長考し始めたので
「6七角」
と、あたしは盤面を見ながら、うっかりつぶやいてしまった。
「んっ…」
驚いて顔を上げる真田さんと、バッチリ目が合ってしまった。
「…お前」
「す…すみません…」
焦って頭を下げた。
「いや、構わん」