125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「あっ!不二、大変だよ!」
菊丸英二が、ひどくあわてた様子で屋上に駆け上がって来た。ラケットを握ったままである。
「どうしたの英二?」
息を切らす英二に、不二も急いで駆け寄る。
「り…立海大の真田が…やって来て…七星ちゃんに会わせろ…って」
(─え?立海大…って幸村さん…そりゃ…約束しましたけど…昨日の今日だからまだメールしてないですよ、そんな…)
「君はここにいるんだよ!いいね!」
呆然としている七星に不二は声をかけ
「行くよ英二!」
素早く屋上のドアから下へ向かって駆け降りた。
「あ!不二!」
あわてて菊丸も不二を追った。
走る不二の視界にテニスコートのフェンスと、その前に立つ他校生…四人の姿が入った。
数メートル手前で速度をゆるめると 息を整える。
「ようこそ真田さん。昨日はどうも。…七星もすっかりご迷惑をおかけして…」
にこやかに真田に声をかけながら、他の三人のチェックも怠らない。
ガムを噛み続ける男…丸井ブン太。ひょうきんそうな仕草の切原赤也…そして、誰よりも優しげな部長の幸村精市…。
「…あの子はお前が彼氏ではないと言ってたが…?」
真田がいぶかしげに不二を見る。
「ふふ…恥ずかしがり屋ですからね、彼女は。なかなか他の人には、僕とつき合っている…って言わないんですよ」
にこやかに対応する不二。
「どうした?」
不二の後ろから、いつもの聞き慣れた威厳のある声が響いた。
「手塚…!」
振り向いて驚くが、さっきまでの戸惑いの表情はどこにもなく、青学テニス部の部長としての顔がそこにあった。
「手塚先輩…」
屋上から様子を窺っていた七星は、手塚が現れたので驚いた。
そして…自分を見上げているほっそりとした人物…幸村精市に気がついた。
(…あ…幸村さん…)
七星は、ため息をひとつつくと、深呼吸をして携帯を取り出した。
慣れない幸村のアドレスを打ち込むと送信する。
《なぜ学校までいらしたんですか?》
返事はすぐに来た。
《君に逢いに》
《でも、あたしとテニス部の人は関係がないので迷惑がかかってしまいます》
《それはわかっているよ。でも、接点がテニス部しかなかったから、こういう形を取ったんだ。ごめんね》
《…あたしはどうすればいいですか?》
《俺と逢って欲しい》