125キロの加速 ナツのオトメ1*
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(…どうしてあんなことをしてしまったんだろう…)
手塚国光は、一人図書室で悩んでいた。
『カラマーゾフの兄弟』のある書棚の前に立つ。
上巻がない。
手塚の顔に、ふ…と穏やかな微笑みが灯る。
自分の後に七星が借りて読んでいる…そう考えるだけで嬉しくなる。
「七星…」
小さくつぶやくとなぜか胸が高鳴る…。
(こんな気持ちになるなんて…)
あまりの計算外で己れに苦笑した。
七星の名を呼び出す放送が流れると、つい気になって来賓用玄関まで来てしまった。
そこにはなぜか氷帝の日吉がいて七星に『これからも会いたい』と言っていた。
七星を守りたかった。
気がついたら抱きしめていた…。
『愛しい…』と思った。
しばらく顔は見せて貰えないだろうな…と漠然と思った。
「立海大と練習試合なんて、僕は願ったりだけど?強い相手と戦うのは、大会以外じゃあまりないからね」
別に困るでもなく不二は答える。むしろ歓迎するような口ぶりだ。
「じゃ…あの、山吹中では…」
首をすくめつつ、そろりと不二の様子を窺い七星が聞く。
「…山吹? …なぜ七星ちゃんが山吹の名を知っているのかな…? 教えてくれる? 山吹の誰なのか?」
にこ…と笑顔で七星を見る。
「…千石さん」
(う…やっぱり不二先輩にはバレちゃう…)
「千石清純…。これはまた…いつ知り合ったのかな? 真田達の次? 日吉の次?」
にこにこと笑顔を崩さず聞いて来る。
「…真田さん、千石さん、日吉さん…の順です」
あたしは観念して、不二先輩の質問に答えた。
「…ほんとに君は飽きないね?」
くすくす笑うと
「じゃ…立海大に続き、山吹もケンカ売ってくれるのかな?」
「…多分…千石さんは挨拶に来るって…あの…リョーマくんと戦うために」
あたしは下を向いて言った。
「なぜ越前…?」
少しいぶかる不二先輩に、あたしはもう一度観念して答えた。
「あ…あたしが、千石さんをやりすごすのに失敗して…そのリョーマくんを『彼』…っていうことにしてしまったんです」
「…それ 僕にして欲しかったな…」
あたしを見て不二先輩は言った。
「…え…でも」
あたしは、先輩にじっと見つめられしどろもどろになる。
(日吉は手塚を…千石は越前を…真田は…? 僕なら…)