125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「あり? 日吉。今日は休みやなかったん?」
いきなり氷帝テニス部の部室ドアが開くと、休むはずだった日吉若がツカツカと自分のロッカーに向かって来た。
「忘れ物届けに行ったんじゃ…?」
鳳長太郎も疑問に思い、着替え始めた日吉に聞いた。
「届けた…」
無愛想に答えると、日吉はサクサク着替えを進める。
「はぁ~ん。さては…あんま可愛ぇ子やなかったんやな。そら残念やったなぁ。わざわざ時間の無駄しに行ったみたいでご苦労さんやったな」
からかうように、にやにやしながら日吉に近づく忍足。
「…気に入らない奴がいた」
バタン!と勢いよくロッカーの扉を閉めると、苦々しげに言葉を吐き捨て、ラケットを握った。
「おりょ!びっくりや!可愛ぇ子やったんか?そらええなぁ。俺も可愛ぇ子目にしたいわ」
ひとしきり騒ぐと、真顔の流し目になり
「で…誰や、その子の彼氏…おったんやろ? それも日吉がいきなり練習に打ち込むっちゅうことは…テニス部の男やろ?…しかもかなりな強豪…」
「…青学の手塚国光…。…ぶっ倒す!」
それだけ言うと、日吉は忍足には目もくれず、さっさと部室から出て行った。
「嘘ぉ!手塚やてぇ?はりゃ~…またえらいお人がライバルになったもんやな」
びっくりするやら、感心するやら…で目をパチパチさせる忍足。
「これも下剋上かな…?」
くす…と鳳が笑った。
「日吉が聞いたら怒るで」
忍足も笑いはしたが…
(ふぅん…普通彼氏つきやったら、遠慮するんが相場やのに…それを押し退ける言うんは、ごっつぅ可愛ぇってことやな…何や興味湧いたな…)
「何考えてるんですか?顔がニヤけてますよ」
呆れつつ忍足を見る鳳。
「可愛ぇ子は俺も好きやな…ってことや」
笑ってラケットを取ると、鳳と部室を後にした。
「はい、僕のお姫様、着きましたよ」
そう言うと、不二先輩はあたしを屋上に下ろした。
「あ、すっすみません」
あたしは何度もペコペコお辞儀をした。恥ずかしくて顔は真っ赤なままだ。
「ふふ…いいって。僕が勝手に運んで来たんだから、遠慮はいらないよ」
(でもこの間より抱き上げた瞬間、緊張したのがわかる。いきなりあの手塚に抱きしめられちゃ、驚くのも無理もない…。さて、そうなると…しばらく僕も手は出せないな…。君に警戒されちゃ元も子もないからね。少し我慢して…いい人…でいってみるか)
不二が色々画策している間七星はテニスコートをぼんやりと見下ろしていた。