125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「かえってやる気になりましたよ。手塚さん」
日吉は挑戦的な視線を手塚に送った後、柔和な眼差しに素早く切り替え七星を見つめ
「七星さん、またいずれお会いします。ではまた」
会釈をして来賓用玄関から立ち去った。
あたしは、ホッとして大きく息を吐いた。
しかし手塚の手はまだ七星の肩に乗っている。
「あ…あの手塚先輩…?ありがとうございました」
あたしは手塚先輩を見上げて、肩の手を外して貰おうとした。
「え…あ…すまない」
日吉の後ろ姿を見送っていた手塚は、やっと気がついたかのようにあわてたが、
「………」
「先輩…?」
片手だけで抱き寄せていた手塚の手に力が入り…いつしか…両腕で抱きしめていた…。
「先輩…あ…あの」
あたしの鼓動は何倍にも早くなり、何とかこの状況を改善しないと…と焦った。
「手塚、そこまではやらないでほしかったな」
たまりかねた不二が柱の陰から現れた。
「不二…」
振り返った手塚の視界に、目を開いて自分を見る不二と、びっくりした顔の菊丸の姿が入った。
「…あ」
自分でも驚いたように、抱きしめている七星を見下ろし
「すまない…つい…」
そう言うとあわてて七星を離し、その場を立ち去った。
「七星ちゃ~ん、大丈夫?」
駆け寄る、英二と不二。
「え、せ…先輩方…」
驚くより見られていた方が恥ずかしくて、気持ちばかりが焦った。
「英二、今日は手塚、部活に出ないかもね」
「あ…うん…かもね」
「じゃ 英二、大石にそう伝えてよ。七星ちゃん、気分転換しよ」
そう言うと、不二先輩はあたしの手を引っ張り、走り出した。
「なっ!?不二~っ」
英二先輩の絶叫を残し、不二先輩はあたしを引っ張る。
「せっ先輩、あたし長く走れない…」
「わかってる」
先輩が言ったとたん、あたしの体は宙に浮いた。
「えっ?きゃっ」
「ふふ…僕と君ならこのシチュエーションでしょ」
にこやかに笑う不二先輩に『お姫様抱っこ』されて、階段を駆け登る。
「せっ先輩、人に見られたら…」
「大丈夫だよ。この階段は一番人が通らないし、僕達はもうとっくに知られている仲だし…ね」
開いた目で軽くウィンクすると、悪戯っぽく笑う。
「…………」
(そういう問題なの~?)