125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「…何だか知らないけど、お前今…物凄く不安そうな顔してる…何かあるなら、ちゃんと俺に言えよ」
そうリョーマくんは、あたしの耳元で囁くと、
「じゃ、また明日。練習見に来いよ。屋上でいいから」
いつもの調子で笑顔を見せると、手を振り あっという間に駆け去ってしまった。
「……」
あたしは、ただただ驚くだけで、何も言えず、リョーマくんの後ろ姿を見送った。
ぼう…として自分の部屋に戻ったら、急に力が抜けて、その場に座り込んでしまった…。
「…リョーマくん…」
そっと、リョーマくんがふれた頬を触る…。
いきなり恥ずかしくなって…頬が熱くなったのがわかる…。
(…明日、どんな顔して会えばいいのよ…もう)
今夜は眠れない…。
(だって…仕方ないだろ?あいつが、あんな不安そうな顔で…俺にテニスが強いか…なんて聞いてくるから…絶対何か、やらかしたに違いない。テニスなら負けない。安心しろ…。でも、どうしても、お前の不安を取り除きたかった…。怒るなよ…)
その頃 越前リョーマも、帰り道を走りながらそう考えていた。
─翌日─放課後─
授業が終わったばかりの教室のスピーカーから、あたしを呼び出す校内放送が入った。
「な…何だろう。あたし何かしたかな?」
友達の春菜と顔を見合わせる。
「とにかく行って来なよ。七星」
「う…うん」
恐る恐る放送で指定された場所…来賓用玄関…に急いで向かった。
「どうも、こんにちは」
「…あ!」
そこに立っていたのは、昨日レポート用紙を飛ばした、涼やかな瞳の男性…だった。
「ええ…どうして?あたし名前なんてひと言も…」
その人はくす…と笑うと
「これ…君のでしょ?昨日拾ったんだ」
あたしに『学生証』を手渡した。
「あっ…お…落としてたんですか…全然気がつかなかった…」
あたしは、学校以外でも外出時はいつも学生証を持ち歩く。いきなり映画を観たりする時などの証明になるからだ。
「ありがとうございます。わざわざ学校まで届けて下さるなんて…」
明らかに、この近辺のとは違う、制服に身を包んだその人から学生証を受け取ると、何度も頭を下げた。
「いや、俺がもう一度君に会いたくて、勝手に来ただけなんだから」
涼やかに笑うと、その人は嬉しそうにあたしを見た。
「あ~あいつ…」
柱の陰から二人を見る英二と不二。