125キロの加速 ナツのオトメ1*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ね、君一人なの?」
その男の人は妙に嬉しそうにあたしに聞いて来た。
「え…?はい」
あたしは、つい正直に答えてしまった。
「ラッキー。じゃ、俺と一緒にジャンボたこ焼き食べない?」
「え…でも…あたしはもう帰るところで…」
ちょっと引き気味にあたしは言った。
「でもさ、君とぶつからなければ、俺はこのたこ焼きを無事食べることが出来たんだけどな~」
男の人は、落ちたたこ焼きを指差して、あたしの顔を覗き込んで来た。
「…それはごめんなさい…」
あたしは、謝りながら下を向いてしまった。
「ん~いじめてるわけじゃなくって、君は俺好みの可愛いさだから、少しだけ一緒にいてくれない? おごるからさ? ね?」
にこにこ笑いながら、あたしの手を引っ張ると、お好み焼きの屋台に直行した。
(あれ…ジャンボたこ焼きじゃなかった…?)
と頭の隅で思いながら、一瞬誘拐される…と真剣に焦った。
「俺、お好み焼き好きなんだ~。しかも今日は、理想の女の子と一緒だし。ほんとラッキー」
嬉しそうに食べる姿を見たら、何か…悪い人じゃなさそうな気がして…少し安心した。
「あ、俺千石っての。千石清純。名前の通り清純(せいじゅん)そうでしょ?」
自分を指差して、にこにこ笑う。
あたしは、悪いと思ったけど吹き出した。
(清純…? 絶対違う…怪しいもん)
「あ、ひどいな。今違うって思ったでしょ」
千石…さんは笑いながら抗議した。
「ね、君の名前は?」
「あ、七星です。高寺七星」
「ふぅん、可愛い名前だね。きみにピッタリだよ」
ふふ…と笑うと、千石さんはあたしをじっと見つめた。
「あの…?」
あたしは、落ち着かなくて早く千石さんの視線から外れたかったんだけど…千石さんの視線はあたしを外してくれなかった。
「…せっかく理想の女の子に逢えたのに すぐバイバイじゃ悲しいよね。君は、どこの学校なの?俺は山吹中の3年でテニスやってるんだけど…」
あたしをじっと見たまま千石さんは聞いて来る。
「テニス…ですか? あたしは青学なんですけど、テニス部の方達とは親しくさせて貰ってます」
テニスの話題が出たので、少しホッとした。
「青学? テニス部…まさかテニス部の誰かが彼氏とか?」
千石さんが探るように見てきたので、
(…どうしよう。ここはひとつ…誰かの名前を借りて、やり過ごした方がいいのかな…?)