125キロの加速 ナツのオトメ1*
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「え…と、話せば長いことながら…」
あたしは、またも人様にぶつかってしまったことを不二先輩に告げた。
「くくく…」
案の上、先輩は笑う。
「朝はルドルフ、今は立海大。帰るまでにあと何人ぶつかるのかな?楽しみにしてるよ。七星ちゃん」
「……も…もうぶつかりません!」
不二先輩の笑顔に対抗した時、先輩の携帯が鳴った。
「…え?…そう?…わかった」
短いやり取りの後であたしに振り向くと
「家に姉がいるんだけど、その姉がすぐ帰って来い…って何だか騒ぐんだよね」
しょうもない…という感じで先輩がため息をつく。
「あ、構わないですよ。元々お礼のつもりでお誘いしたのはあたしですから、早くお家に戻って下さい」
「え?君は…七星ちゃん?」
一緒に帰らないの…と言う顔をしたので
「まだ時間ありますし、見てないアトラクションもありますし…それに隣の公園でゆっくり森林浴したいな…って思ってるんです」
にっこり笑って先輩に答えて、一人で大丈夫かと心配する不二先輩を送り出し、ホッとひと息つく。
「…本当にあの子に興味があるのか?幸村」
並んで歩きながら、真田は疑問を口にした。
「ふふ…可愛いのは事実だし、魅力的だよ。特にあの不二周助の彼女…っていうのが…」
「うん?」
「気に入らないな」
くす…と笑う。
「…殴り込みでもかけるか?青学に」
真田が少しだけ柔和な表情を見せた。
(まぁ…確かに、真っ直ぐ俺を見上げて微動だにしない根性…は認めよう。大概の人間は、あれだけでビビる)
真田も七星の瞳を思い出す。
「え? 何…僕を呼び戻した用件…って『裕太が帰ってる』だけなの?」
自宅に戻り、玄関で靴を脱いでいる弟に姉の由美子は言った。
「そうよ。でもいつもの裕太とひと味違うの。どうも『恋煩い』みたいよ」
くすくすと笑う。
「恋煩い?」
呆れながら 靴をしまうが、
「誰に?どっかのタレントだなんて言わないでよ」
確かめるのは忘れない。
「今日初めて会った可愛い子なんだって。しかもどこの誰か全然わかんないのに、一目惚れしてた…って別れてから気がついたんですって」
「………」
おかしそうに笑う姉の話と、朝聞いた七星の話を総合した。
(もしかして…)
「裕太いいかい?入るよ」
弟の部屋のドアをノックすると、返事を待たずにドアを開けた。