125キロの加速 ナツのオトメ1*
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(裕太の奴…やるじゃないか)
自分の弟を思い出し、くす…と笑う。
(顔見知り…じゃお家とか知ってるわけないよね…)
あたしは、ちょっとため息をついた。何かいつも肝心なこと、忘れてるみたいで情けないな。
「先輩。ソフトクリームでもいかがですか?あたし、買って来ます」
「あ、七星ちゃん、僕が…」
と、不二が言いかけた時には、すでに七星の姿は遠くにあった。
「ほんと フットワーク軽いよね。…ビックリ箱みたいで何考えてるか読めないし…これが試合なら苦戦してるのかな…?」
七星の後ろ姿を見送りながら、面白そうに不二は笑った。
「─あ…ごめんなさい!」
「………」
(また やっちゃった…)
ちょっと、よそ見したら…どこかの背の高いお兄さんに正面からぶつかって……両手にひとつずつ持っていたソフトクリームが…下に落ちました…。
お兄さんにもクリームがついてしまったので、あわててハンカチでお兄さんのシャツを拭いた。
「だ…大丈夫でしたか?よそ見しててごめんなさい」
あたしは、帽子を被ってて怖そうな感じのお兄さんに、深く頭を下げて謝った。
内心『怒られませんように…』と祈りつつ。
「真田…どうかした?」
声がした方を思わず振り向いた。ほっそりとした、優しい感じの人が立っている。
「幸村、ダメではないか。座っていろ。お前は病み上がりなんだ」
「大丈夫だって。あまり過保護にされても困るし…で、可愛いお嬢さん?」
あたしに笑顔を向けて、その優しそうな『幸村さん』は
「ソフトクリーム、落としたのかな」
ふふ…と軽く微笑むと言った。
「あ…はい、でもあたしが勝手にぶつかってしまったんで、悪いのはあたしなんです」
焦って言った。
「ふふ…真田もよそ見してたから、おあいこだよ。気にしないで。それより、食べる前に落としてしまったソフトクリームは、すぐ作り直して貰えるよ?」
「ホントですか?」
あたしは嬉しくなって、
「ありがとうございます。すぐ新しいの作って貰います」
お礼を言って、ソフト売り場に戻った。
「…ああいうのが、幸村の好みなのか?やけに親切じゃないか」
うさん臭げな視線を幸村に投げる真田。
「ふふ…だって、とても健康そうだし、何より水色…青空のイメージだ。とても綺麗に澄んだ眼をしてる…初対面でも、充分人を惹きつける…」